住宅ローンに連帯保証人は必要?リスクや選び方について解説!

購入したマイホームの代金を一括で完済できる人は、そう多くはないでしょう。むしろ住宅ローンを組む人の方が多数派と言えますが、中には連帯保証人が必要なのかどうか心配している人も多いようです。そこで今回の記事では、連帯保証人が必要になるケースをはじめ連帯保証人が負うリスクや具体的な選び方などについて詳しくご説明しましょう。

更新日:2019年11月25日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

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1.住宅ローンにおける保証人とは?

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そもそも、住宅ローンの保証人になった人は一体どんな役目を担うのでしょうか。
この疑問を解決するには、住宅ローンを組む時に登場する「連帯保証人」「連帯債務者」「保証人」の3種類について、それぞれの特徴や違いを比較してみるのが近道です。

連帯保証人

本来、住宅ローンの返済義務は実際に借り入れを申し込んだ「債務者」にあります。ですが、債務者がやむ負えない事情で返済できなくなった時や何等かの事情で返済を怠った場合、「連帯保証人」が返済の義務を負わなければなりません。
つまり、住宅ローンを組んだ金融機関は債務者に支払い能力が有ろうと無かろうと支払いが滞ったという事実だけを元に、連帯保証人に対して返済を求めることができるのです。
もう一つの特徴は、「住宅ローン控除」についてです。
住宅ローン控除とは、一定の条件を満たしている人が年末の住宅ローン残高に応じて所得税控除を受けられる制度を指しています。自営業者であれば確定申告で、給与受給者であれば年末調整で申告する必要はあるものの、一定額が控除されて支払うべき所得税額が安くなるのは大きなメリットと言えるでしょう。中には、所得税から控除しきれずに住民税の所得割が控除される人もいます。ただし、連帯保証人は住宅ローン控除の対象外。たとえ金融機関の求めに応じて返済している場合でも、連帯保証人は住宅ローン控除を受けることができません。

連帯債務者

一つの住宅ローンを一緒に返済する人を「連帯債務者」といい、それぞれの債務者に独立して返済の義務が発生します。
返済の義務を負う債務者が複数いる状態、と言った方がイメージしやすいかもしれません。複数の債務者それぞれに独立した返済義務があると聞くと単純に50%ずつ請求されると思われがちですが、場合によってはある程度の調整も可能です。夫と妻それぞれに半額ずつ返済を求めるケースもあれば、収入のある妻が連帯債務者であっても夫に対して全額の返済が求められるケースもあります。
また、連帯保証人が住宅ローン控除を受けられないのに対し、連帯債務者には住宅ローン控除が受けられるという大きなメリットがあります。ただし、連帯債務での借り入れを取り扱っているのはフラット35もしくは一部の民間金融機関のみと限られているのが難点。連帯債務での借り入れを希望する場合は、事前リサーチとして資金準備を含めた無料相談が利用できる業者に問い合わせてみるのも一つの方法です。

保証人 

連帯保証人と混同しやすいのが「保証人」という存在でしょう。
なぜなら、どちらにも住宅ローンを組んだ債務者に代わって返済の義務を負うという共通点があるからです。
ですが、連帯保証人と保証人には返済義務が発生する条件に決定的な違いがあります。連帯保証人の場合、債務者の返済能力に関わらず金融機関から返済を請求されたら支払わなければなりません。これに対して保証人には債務者に返済能力があれば返済を拒否する権利が認められている分、請求権を持つ金融機関としては債権を回収しにくいのです。住宅ローンの条件として、保証人より連帯保証人を指定している金融機関が多いのも当然かもしれません。
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2.住宅ローンでは連帯保証人は原則不要!

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結論から言うと、原則として一部のケースを除き住宅ローンに対して連帯保証人を立てる必要はありません。
確かに、金融機関でお金を借りる時時でさえ連帯保証人を求められるのですから、高額になりがちな住宅ローンの場合は連帯保証人が必須だと思っている人も多いでしょうが、これには明確な理由があります。
そもそも、借り入れに対して連帯保証人が必要なのは貸し倒れリスクを回避するため。
一方、住宅ローンの場合は購入する住宅そのものを担保として確保しているため、支払いが滞るリスクヘッジが備わっているのです。ちなみに、何等かの事情で連帯保証人が必要だと判断された場合は、保証人の役割を代行してくれる保証会社を利用して住宅ローンを組むのも一つの方法です。保証料の支払いは必要になるものの、導入している金融機関も多く保証人がみつからない人にとって強い味方になってくれます。


3.連帯保証人や連帯債務者はどんなときに必要なの?

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住宅ローンに対する連帯保証人は原則として不要とされていますが、全ての人が当てはまる訳ではありません。ここからは、「連帯保証人が必要なケース」と「連帯債務者が必要なケース」の2種類に分けてご説明しましょう。

連帯保証人が必要になるケース

連帯保証人が必要になるケースは、大きく2種類に分けられます。
一つ目は、夫婦で共働きをしているが片方の収入だけでは必要金額のローンが組めないというケースです。
例えば、夫の収入だけではローンが組めなかったり必要額に届かなかったりする場合、妻を連帯保証人として立てて二人分の収入を合算すれば一人分より高額のローンが組めます。このように一方を主債務者として夫婦で住宅ローンに申し込む場合、もう一方は連帯債務者や保証人ではなく連帯保証人となるのが主流です。
二つ目は自営業者のケースです。住宅ローンの返済は長期間にわたるため、収入の安定性が重視されます。
ところが、収入が景気に左右されやすい自営業者の場合は、給与受給者に比べて安定した収入が得にくいと判断されがちなのです。特に開業して間もない人や借入額に対して年収が少ない場合、支払い能力が乏しいと判断した金融機関から連帯保証人を立てるように求められるケースも少なくありません。

連帯債務者が必要になるケース

連帯債務者が必要となるケースも、大きく2種類に分けられます。
中でも代表的なのが、ローンを組む債務者が複数になる「ペアローン」や「親子リレーローン」などでしょう。特に借入額が高額になりがちな二世帯住宅では、二世代にわたってローンをリレーするケースが多いようです。
また、名義の問題も連帯債務者の必要性と深く関連しています。建物が共有名義になっている場合はもちろん、土地だけが共有名義になっている場合も共有者が連帯債務者となる必要があるのです。


4.より多くの借り入れができる!連帯保証人を立てるメリット

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連帯保証人に対してネガティブなイメージを抱いている人も多いでしょうが、より多くの借り入れができるというメリットは見逃せません。そもそも、金融機関は債務者の収入に対して貸出額を算出します。
つまり、夫だけの収入で算出するよりも連帯保証人にした妻の収入をプラスして二人分の収入で算出した方が、より高額なローンを組める可能性が高まるのです。金融機関にとっても貸し倒れのリスクが減るのですから、まさにWinWinの方程式が成り立ちます。ただし、住宅ローンが高額であればあるほど返済責任も重くのしかかってきます。連帯保証人を立ててまで借入額を増やすべきか、返済の見通しを含めて慎重に判断した方が良いでしょう。


5.連帯保証人を立てるときに行われる審査とは

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連帯保証人を立てる場合、審査の対象となるのは「連帯保証人」だけではありません。
貸し倒れリスクを見極める上でポイントとなる「主債務者」と「不動産の価値」についても合わせて審査が行われます。言い換えれば、3つのポイント全てで金融機関から信用を勝ち取らなければ希望金額の住宅ローン審査は通らないのです。

主債務者に対する審査で最も重視されるのが、継続してローンを返済できる支払い能力を備えているかどうか。
勤続年数が長いほど安定した収入が見込めますので、返済が滞るリスクが低いと判断されます。
そのため、一般的に3年以上の勤続年数を目安にしている金融機関が多いようです。加えて過去に借入に関する事故が登録されていないか、信用情報機関と連携した調査が行われます。同じく、連帯保証人に対する審査で重視されるのも主に支払い能力についてです。

3つ目に挙げられるのが、金融機関にとって貸し倒れリスクを見極めるために欠かせない不動産の価値についてです。
住宅ローンを組んで購入した不動産は、返済ができなくなったときのために抵当にかけられます。ですが、貸し出した金額に対して価値が見合わない不動産であれば競売にかけてもローンの残高が回収できません。
そのため、不動産の価値が低ければ貸出額も低くなり、価値が高ければ貸出額も高くなる仕組みになっています。ちなみに、主債務者にとっては思い入れがあるマイホームでも金融機関にとってはあくまで金額的な価値が重視されます。


6.万一のときは?連帯保証人が負うリスクについて知ろう

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会社の倒産やリストラ、家族の病気や震災など未来のリスクを100%予測することは誰にもできません。
だからこそ、どんなに自信があっても万一の場合に備えて連帯保証人が負うリスクについて把握しておくべきなのです。最も代表的なリスクとして挙げられるのが、債務者がローンを返済できなくなった場合でしょう。本来は債務者が負うべき返済義務が連帯保証人へと移行するのはもちろん、支払いを拒否することもできません。特に厄介なのは、債務者が自己破産したケースです。住宅ローンに対する債務者の支払い義務は消滅しますが、連帯保証人には残った債務のすべてが請求されます。中には、債務者に続いて自己破産に追い込まれる連帯保証人もいるのです。

夫婦でローンを組んでいる場合、最大のリスクとして挙げられるのが離婚による影響です。住宅ローンの支払い義務が双方にあるため、離婚して家を出た側も完済するまで返済を続けなければなりません。
一方、親子リレーローンを組んでいる人にとって分岐点となるのは、親が定年を迎えるタイミングです。退職によって親の収入が大幅に減少するのはもちろん、年金を受給するまでの待機期間であれば貯金で繰り上げ返済するのも簡単ではありません。今後は、子供の収入だけで返済を続けなければならないのです。


7.慎重に決めよう!連帯保証人の選び方

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連帯保証人を選ぶときは慎重になるべきと言いますが、具体的にどのように判断したら良いのでしょうか。ここからは、連帯保証人の選び方と見つからないときの対処法について解説します。

基本的には身内に依頼する

債務者が本人の収入だけを基準にして住宅ローンを組む場合、親や親戚など身内に依頼して連帯保証人になってもらったというケースが多いようです。確かに万一のリスクを考えると、友達に頼みにくいのも当然かもしれません。

一方、夫婦の収入を合算してローンを組む場合は悩む余地が少なくて済みます。債務者名義が夫の場合は妻が連帯保証人になれますし、その逆でも構いません。ペアローンであれば一緒にローンを組む相手に依頼するのが一般的ですが、どちらが連帯保証人になるかは収入や働き方にもよります。夫婦や親子で住宅の名義を共有するなら、共有名義者のどちらか片方に依頼しましょう。


連帯保証人が見つからないときの対処法

身内だからと言って、必ずしもリスクのある連帯保証人になってくれるとは限りません。むしろ連帯保証人を気軽に引き受けてくれる人は稀で、連帯保証人が見つからないというケースも珍しくないのです。そんな時は、連帯保証人がいなくても住宅ローンが組める保証会社の利用を検討してみましょう。初めから保証会社に依頼すれば、収入が少ない人でも住宅ローンを組める可能性があります。

また、初めから保証人の必要がない住宅ローンを選ぶのも有効的な手段です。ネット銀行や一部の地方銀行などに多いのが特徴で、住宅金融公庫と民間の金融機関が提携しているフラット35もこの一種。返済期間が35年と長期にわたるため、収入が少なめでも返済しやすいうえ保証人を立てる必要もありません。
ただし、保証人を立てない代わりにリスク回避の意味で審査が厳しくなる傾向がみられます。


8.連帯保証人が決まったらいよいよ契約!手続きの方法

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連帯保証人が必要な住宅ローンを組む時は、債務者だけでなく連帯保証人も金融機関と保証契約を結ばなければなりません。債務者と金融機関が結ぶ「ローン契約」、連帯保証人と金融機関が結ぶ「保証契約」の2つがセットになっているのです。
そのため、住宅ローンの債務者が金融機関でローン契約を結ぶ時に連帯保証人が同行し、まとめて手続きを済ませるのが一般的です。連帯保証人が保証契約を結ぶ時に必要なモノは基本的に3つ。3ヶ月以内に発行された印鑑証明書、運転免許証やパスポートといった顔写真付きの本人確認書類、さらに収入を合算する場合は収入証明書も忘れずに持参しましょう。


さっそくマンション購入の資金準備を始めよう!

住宅ローンの借入額が少なければ、連帯保証人を立てる必要性も低下します。
そして、住宅ローンでの借入額を減らせるかどうかは、いかに多くの頭金を準備しておけるかどうかにかかっているのです。マンションを購入したいけど資金準備が不安、計画の立て方が分からないという場合は無料相談が受けられる「IESHILの個別相談会」(所要時間 : 45分程度 / オンラインでのご相談も歓迎)をぜひご利用ください。
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