家の名義変更の方法は?メリットやかかる費用・期間も紹介!

家(不動産)の売買契約にあたっては契約の締結時はもちろん、締結後も売り主から買い主への名義変更(所有権移転登記)など法律に基づきさまざまな手続きを行わなければなりません。特に名義変更は手続きが煩雑なので、一般の人には難しいというイメージがあります。また、登録免許税などの費用や移転までにかかる期間もよく知られていません。この記事では名義変更における具体的な手続きや費用、期間について詳しく解説します。

更新日:2024年08月05日

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株式会社リブセンス

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この記事の要点
  • 遺産相続、生前贈与、離婚による財産分与、不動産売買の場合は名義変更が必要
  • 名義変更には書類取得費用、司法書士報酬、登録免許税などがかかる
  • 自身で名義変更を行うのが難しい場合や困難を感じる場合、不動産のプロへの相談がおすすめ

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名義変更をする場合、用意する書類が多く細かい手続きが必要となります。どんな書類を用意し、どんな手続きが必要なのかポイントを押さえて事前に準備をしておくと、売却開始後の手続きもスムーズに進められます。


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1.不動産における名義変更とは

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不動産における名義変更(所有権移転登記)とは、法務局に必要書類を提出し、対象となる不動産の所有者の名義を変更することです。登記とは、物権や債権、不動産などの権利関係を広く社会に公示する制度です。このような権利関係は全て法務局が管理している「登記簿」に記載されており、誰でも閲覧できるようになっています。逆にいえば、この登記を備えていないと不動産の買い主は第三者に対して所有権を主張できません。
もし、売り主が買い主とは別の第三者により有利な条件で売り渡し(いわゆる二重売買)、所有権が移転したことが登記簿に記載されていれば、所有権は第三者のものです。このため通常は不動産の引渡時に不動産会社の立ち合いのもと、司法書士が所有権の移転の手続き、つまり名義変更を行います。

ただし、名義変更といっても所有物件の所有権移転登記と賃貸物件の名義人変更は性質が全く異なるので注意が必要です。所有権移転登記が登記制度のもと所有権の所在を公に開示するものであるのに対し、賃貸借契約は私人間の合意としての契約であり、当事者同士の契約内容の変更にすぎないからです。賃貸物件の名義変更は、結婚や離婚で賃借人が変更または氏名が変更になった場合や契約者の死亡により遺族が契約者になる場合などに認められ、一般的には物件を管理している管理会社で行われます。
また、賃貸物件の名義人変更は保証会社の保証契約書や火災保険の登録変更の手続き上、すみやかに行わなければなりませんが、所有物件の場合、例えば遺産相続や生前贈与で家を処分しないのであればそれほど急いで変更する必要はありません。
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2.家の名義変更が必要なのはどんなとき?

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一般的に、家(不動産)の名義変更が必要なのは以下の4つのケースがあげられます。※所有権の移転に伴う場合

・遺産相続

物件の所有者が亡くなった場合、亡くなった人(被相続人)の名義を相続人の名義に変更する必要があります。
これを相続登記といいます。遺言書がなかったり、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割したりする場合には、相続人間で協議(遺産分割協議)を行って遺産分割協議書を作成した上で相続登記を行います。相続登記は法律上、特に期限は設けられていませんが、登記を行っておかないと相続人同士でさらにモメたり不動産を処分できなかったりするので早めにすませておきましょう。

・生前贈与

生前贈与とは、財産の所有者が生前に自分の財産(金銭や不動産、車など)を無償で受贈者に譲渡することです。
生前贈与は相続税の節税効果があり、また贈与する相手を選択できることから利用する人が急増しています。
ただし、不動産を生前贈与する場合、贈与を受ける側に対し登録免許税や不動産取得税に加えて贈与税が発生するので注意が必要です(不動産にかかる贈与税については「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」など控除制度もいくつかあります)。

・財産分与

財産分与とは離婚の際に婚姻中に夫婦で築いた財産を分割し、夫と妻がそれぞれどの財産を承継するのかを決めることをいいます。生前贈与と異なるのは、財産分与は無償の贈与ではなく、あくまで財産の分割であり、原則として贈与税が課されないことです(逆に離婚する前に財産分与をしてしまうと生前贈与とみなされて贈与税が課税されるおそれもあります)。登録免許税や不動産取得税といった税金もかかりません。
ただし住宅ローンが残っていたり、土地と建物で名義が違っていたりすると権利関係や手続きがより複雑になるので、不動産を財産分与する場合は弁護士など専門家に相談したほうがいいでしょう。

・不動産売買

不動産を購入した買い主は売り主に対し不動産の引渡請求権や名義変更(所有権移転登記)を請求できる権利(所有権に基づく物権的請求権)があります。不動産の購入後、買い主が第三者に対して所有権を主張するためには名義変更が必要になるため、不動産売買による名義変更はすみやかに行われなければなりません。所有権が移転するタイミングは民法上は売買契約締結時と定められています(民法176条)。
しかし、それだと買い主が手付金だけを支払って残代金を支払わない場合でも所有権が移転してしまいます。そのため通常は売買契約において残金決済時に所有権が移転する旨の特約を設けています。
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3.名義変更にかかる費用と期間

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不動産の名義変更にかかる費用としては、必要書類の取得費用、司法書士に依頼した場合は支払報酬、その他にも登録免許税や譲渡所得税などがかかります。ここでは主に不動産売買による不動産の名義変更手続きに必要な費用と期間について詳しく説明します。

費用

不動産売買による不動産の名義変更手続きにあたっては、売り主側と買い主側で必要書類やかかる税金が異なるため、それに応じて費用も変わります。まず、売り主側にかかる費用からみていきましょう。


売り主側

・必要書類にかかる取得費用

売り主は不動産売買契約書や登記済権利証などの書類が必要ですが、このうち印鑑証明書および固定資産評価証明書、住民票の取得にあたっては、一冊に付き数百円の取得費用(合計で数千円程度)および市町村役場へ赴く際の交通費などがかかります。

・抵当権抹消登記、住所変更登記および氏名変更登記にかかる登録免許税
抵当権抹消登記は名義変更(所有権移転登記)とは別の手続きですが、抵当権が設定されている不動産は必ず抹消登記をしてから売却しなければならないので、一般的には所有権移転登記と同時に行います。
抵当権抹消登記、住所変更登記および氏名変更登記にかかる登録免許税はすべて、不動産の数×1,000円です。司法書士に依頼した場合は、抵当権抹消登記で5,000円~10,000円、住所変更登記および氏名変更登記で10,000円~15,000円の報酬が発生します。

・土地や建物の譲渡所得に対する税金(譲渡所得税)
土地や建物を売却(譲渡)した場合、譲渡所得に対して税金が課せられます。
長期譲渡所得(所有期間が5年を超える場合)か短期譲渡所得(5年以下)か、また売却した不動産がマイホームかどうかで税率や特別控除額が異なります。


次に買い主側にかかる必要書類の取得費用と税金、司法書士への支払報酬をみていきましょう。

買い主側

・必要書類にかかる取得費用
売り主側と同じく、住民票や印鑑証明書の取得に数千円かかります。

・所有権移転登記にかかる登録免許税
所有権移転登記に関して登録免許税法では、土地の売り主、買い主の双方が連帯して納付する義務を負うとされていますが、通常は買い主側が負担しています。所有権移転登記にかかる登録免許税は土地(不動産の価格×1,000分の20、2021年3月31日までは1,000分の15)と建物(不動産価格×1,000分の4)で別々に定められています。
また特定認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、特定の増改築がされた住宅家屋の税率は0.1%です(2020年3月31日まで)。

・所有権移転登記にかかる支払報酬
所有権移転登記は複雑なので、通常は司法書士に依頼します。司法書士は不動産の情報を調査したり必要書類を取り寄せたりしてから所有権移転登記の申請を行うので、その分の実費と報酬が発生します。司法書士に対する報酬は司法書士事務所によって異なりますが、相場は50,000円~120,000円です。

・不動産取得税
不動産取得税は売買や贈与で不動産を取得したときに課せられる地方税です(相続は非課税)。土地・建物に対し課税標準額(固定資産税評価額)×4%の税金が課せられます(特例により2021年3月31日まで土地および住宅は税率3%、住宅以外の家屋には税率4%)。
また土地の場合は宅地かそれ以外か、建物の場合は新築か中古かでも計算方法や控除額が異なります。
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期間

不動産売買にかかる家(不動産)の名義変更は、まず手続きに必要な書類を準備することから始まります。
役所に行けば大抵の書類はその場でもらうことができますが、郵送で行うと1~2週間かかることもあります。書類を取得したあとは、その書類を元に法務局に提出する登記申請書などを作成。
また、法務局に登記申請した後には審査があるため、その審査期間も見ておきましょう。
目安としては1カ月程度で名義変更が完了しますが、売り主、買い主双方の協力が必要なので、足並みがそろわない場合はさらに時間がかかることもあります。
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