マンションの住み替えローンとは?金利や審査内容、利用の注意点を紹介

家を住み替えたいけれど、現在の自宅の売却代金ではローンを完済できない場合、「住み替えローン」を利用すればすぐに新居へ住み替えをすることが可能です。 ただし住み替えローンは通常の住宅ローンに比べて金利が高いなどデメリットもあるので、利用を考えている方は慎重に検討する必要があります。 この記事では住み替えローンとは何か、メリット・デメリット、利用する際の注意点を詳しく紹介します。

更新日:2023年08月08日

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マンションの住み替え時に使える「住み替えローン」とは

住み替えローンとは、家を住み替えをする際に、現在住んでいる家の住宅ローンの残債分と新居の購入資金を合わせて借りることができるローンのことです。

住み替えの際には、できれば自宅の売却代金と自己資金で住宅ローンを完済してしまうことが理想ですが、多額のローンが残っていたり売却価格が低すぎたりすると返済しきれないことがあります。

そのような場合、住み替えローンを利用することでスムーズに住み替えをすることが可能です。
ただ、住み替えローンには通常の住宅ローンに比べて返済の負担が重くなるといったデメリットもあります。

ここでは、住み替えローンを利用するメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。


住み替えローンを利用するメリット

まずは住み替えローンを利用するメリットを2点紹介します。


自己資金がなくても住み替えができる

住み替えローンの最大のメリットは、自己資金がなくても住み替えができることです。
家の売却代金と自己資金がローン残債を下回った場合でも、住み替えローンを利用することでスムーズに住み替えをすることができます。
また住み替える際に自宅を売却してから新居を探すと、一時的に仮住まいが必要になる場合がありますが、住み替えローンの利用では売却と購入を同時に行うため、仮住まいの家賃や引っ越し代がかかりません。


必要なタイミングで住み替えができる

結婚や出産、転勤、子どもの通学など引っ越しに緊急を要する場合、住み替えローンを使えばすぐに住み替えることが可能です。
また「気に入った家を見つけたのに自宅のローンを完済するため資金を貯めている間に売れてしまった」といったリスクを回避することができます。
資金が貯まるのを待つ必要なく、必要なタイミングで住み替えを行えることは大きなメリットでしょう。


住み替えローンを利用するデメリット

住み替えローンは便利な反面、注意したいデメリットもあります。
住み替えローンを利用するデメリットについて3点紹介します。


住宅ローンよりも金利が高い

住み替えローンは住宅ローンに比べて金利が高くなるといったデメリットがあります。
一般的な住宅ローンは国による優遇措置があるため金融機関所定の基準金利より金利が低く設定されていますが、住み替えローンにはそのような優遇措置がありません。
具体的には一般的な住宅ローンの金利の相場は0.5%ですが、住み替えローンの金利相場は2〜4%(2022年10月時点 変動金利の場合)となっています。
住み替えローンは借入額も大きいため、必然的に返済負担が重くなってしまうでしょう。


借入額が大きいため年収の審査基準が厳しい

住み替えローンは現在の自宅のローン残債と新居の購入資金を合わせて借りるため、借入額が高額になります。
そのため金融機関の融資条件も厳しくなり、通常の住宅ローンの審査は通ったのに住み替えローンは通らないといった可能性も出てきます。
年収だけでなく、勤務先の安定性や他のローンの返済状況、カードの支払い履歴なども審査の対象になることを念頭に置いておきましょう。


売却と購入のスケジュール調整が大変

住み替えローンを利用するには、自宅の売却日と新居の購入日を同日にする必要があります。
なぜなら自宅の抵当権を抹消してすぐに新居の抵当権を設定しないといけないからです。
売却と購入を同時進行するにはスケジュール調整を慎重に行わなければいけないので、不動産会社と密な連絡を取り、相談しながら進めていくことが大切です。
住み替えサポートが得意な不動産会社を選んだり、売却と購入を同じ不動産会社に依頼すると良いかもしれません。


住み替えローンを利用するには

住み替えローンを利用するにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは住み替えローンを利用する際の手順や審査内容についてご紹介します。


ローン残高を調べて不動産会社に相談する

まずは現在の自宅のローン残債がいくらあるのか、住宅ローンを契約している金融機関に確認しましょう。
確認後はローン残債から売却代金を引くといくら残るかを調べ、不動産会社に相談します。
不動産会社に相談することで、住み替えローンを取り扱っている金融機関を紹介してもらえたり、売却と購入を同時進行させるスケジュールの調整に協力してもらえるでしょう。


金融機関ごとの住み替えローンのプランを比較検討する

住み替えローンを取り扱う金融機関は不動産会社から紹介してもらえることもありますが、自分で調べておくことも大切です。
金融機関によって住み替えローンの内容は異なるので比較検討し、自分に合ったものを選びましょう。
主な金融機関が提供している住み替えローンプランを紹介します。(2022年10月時点)


  • みずほ銀行「みずほ買い替えローン」
産休・育休等ライフステージによって変動する家計に合わせて返済額を増減できるプランがある。

  • りそな銀行「りそな住みかえローン」
新居の担保評価額+最高1,000万円(自宅売却代金で返済しきれない住宅ローン残額)まで借入ができ、親子二世代型として取扱いも可能。


  • ろうきん「借換・買替ローン(不動産担保型)」
固定金利と変動金利を合わせた金利ミックスで、将来の金利変動リスクへの備えが可能。



住み替えローンの審査内容

住み替えローンの審査内容や基準は金融機関によって異なりますが、前述した通り通常の住宅ローンよりも厳しいことを念頭に置いておきましょう。
年収は、通常の住宅ローンは300〜400万円あれば審査を通過できますが、住み替えローンの場合は400〜500万円ほど必要とされています。
現在の住宅ローンの返済状況やクレジットカードの支払い履歴もチェックされるため、滞納や未払いがある場合は審査を通過できない可能性があります。
もちろん住宅ローンの残債額も審査対象になるため、残債額が大きくなるほど審査は通りにくくなるでしょう。
また金融機関は融資金額の上限を設定しているので、ローン残債額が大きすぎると住み替えローンだけでは賄えないケースもあるため注意が必要です。



住み替えローンを利用する際の3つの注意点

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前述した通り住み替えローンにはデメリットもあるため、利用する場合は慎重に計画を立てる必要があります。
ここでは住み替えローンを利用する際の注意点を3つご紹介します。


余裕のある借入額と返済期間にする

住み替えローンはどうしても借入額が高くなる上に金利の優遇措置もないので通常の住宅ローンよりも返済負担が大きくなります。
そのため無理をして借りてしまうと、後々返済が苦しくなってしまう可能性も高いでしょう。
毎月の返済額の確認はもちろん、預貯金額や将来の年収など視野を広く持って返済計画を立てることが大切です。
不動産会社にも相談しながら余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。


新居の購入時には「買い替え特約」をつける

新居を購入する際には売買契約に「買い替え特約」をつけることをおすすめします。
買い替え特約とは、提示した期限内に現在の自宅が売却できなかった場合、新居の購入契約を無効にできる特約です。

住み替えローンは売却と購入を同時進行する必要があるので、買い替え特約をつけることで気に入った物件を押さえながら安心して売却活動を進めることができます。
ただし買い替え特約は売主側からすると買主の都合で購入契約が白紙に戻ってしまうリスクがあるため、承諾してもらえるかは売主次第です。
売主が個人の場合よりも不動産会社の方が買い替え特約の付帯を承諾してもらえる可能性が高くなるでしょう。


条件が合えば住宅ローン控除を使える

住み替えローンも通常の住宅ローンと同じく、条件が合えば住宅ローン控除を利用できます。
住宅ローン控除の対象となる条件は、6カ月以内に入居して10年間住み続けていることや、その年の合計所得金額が3,000万円以下であることなどです。

住み替えを行う場合は、必ず確定申告を行って住宅ローン控除を忘れないようにしましょう。


住み替えローンを利用せずに住み替える方法

住み替えローンには通常の住宅ローンとは違うデメリットもあるので、できれば使わずに住み替えをしたいと考える方もいるでしょう。
ここでは住み替えローンを利用せずに住み替える方法を3つご紹介します。


自己資金が準備できるまで待つ

当たり前ですが、売却代金と自己資金でローンを完済できれば住み替えローンを使う必要はありません。
急な事情がないのであれば自己資金を貯めたり、売却を先に延ばしてローンの返済を続けたりしてローンを完済できる目処が立つまで待ってみましょう。
住み替えローンを利用するメリット・デメリットを考慮した上で、どうしても今すぐに住み替える必要がないのであれば、自己資金が貯まるまで住み替えを延期することも考えても良いかもしれません。


ダブルローンを利用する

住み替えローンは売却と購入を同時進行しないといけないというスケジュールのデメリットもあります。
現在の自宅の住宅ローンを返済しながら新居の住宅ローンを組むダブルローンを利用すれば、同時進行の義務は回避できます。
さらに住み替えローンに比べて金利が低くなるといったメリットもあります。

ただしローンを2つ組むことになるので、収入などの審査はかなり厳しいものになるでしょう。


複数社に査定を受けて高値で売却する

自宅を高く売却できればその分ローンの返済に当てられる金額も多くなります。
なるべく高い金額で売ってくれる不動産会社に売却を依頼することで、住み替えローンを組まなくて済んだり、組む場合も借入額を減らすことができるでしょう。
不動産会社探しでは必ず複数社に査定をしてもらい、査定額や査定額の根拠、会社の実績などを比較検討しましょう。

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住み替えローンを組む際は余裕を持った返済計画を!

住み替えローンは資金が足りなくても好きなタイミングで住み替えができる便利なものですが、気を付けなければならないデメリットもあります。
特に借入額が多くなる上に金利も高いため、返済負担は通常の住宅ローンよりも重くなる点には注意が必要です。
住み替えローンの利用は慎重に検討し、利用する場合は余裕のある返済計画を立てることが大切です。
家を住み替える際には、売却・購入についてや住み替えローンについて安心して相談できる不動産会社を見つけましょう。

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