宅建業者間の売買で使われる指定流通機構(レインズ)とは

「レインズ」と呼ばれる指定流通機構、その組織とシステムについて詳しく解説します。

更新日:2016年03月10日

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この記事の要点
  • 不動産流通機構の目的は不動産取引の迅速化と適正化
  • レインズは全国を網羅する日本最大の不動産情報のデータベース
  • 今年から「囲い込み」と呼ばれる不正行為を防止するステータス管理機能が導入される

不動産流通機構・指定流通機構とは?

全国で国土交通大臣が指定した不動産流通機構という4つの団体があります。(公財)東日本不動産流通機構、(公社)中部圏不動産流通機構、(公社)近畿圏不動産流通機構、(公社)西日本不動産流通機構で、これら4つの公益社団法人または公益財団法人によって運営されています。

これらの機構は、宅地建物取引業法に基づき、宅建業者間の売買などの物件情報を広く公開し、情報交換をすることによって、不動産取引の迅速化と適正化、成約促進を目的として設立された公益法人です。

これら4つの不動産流通機構は、国土交通大臣が指定していることから指定流通機構と呼ばれ、それぞれが担当する地域の不動産情報の交換および管理業務等を行っています。この4つの公益法人は、各々の地域の主要な不動産会社を会員に擁し、組織されています。

レインズ(REINS)とは?

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レインズとは、1988年の宅地建物取引業法の改正によりスタートし、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理する、コンピューター・ネットワークによる不動産流通標準情報システムです。

Real Estate Information Network Systemの頭文字をとり、略称で「レインズ(REINS)」と呼ばれています。

レインズでは、全国にホストコンピュータが設置され、全国各地から登録、検索される不動産物件情報がすべてオンラインで迅速に処理されており、不動産情報の提供(登録)、受取り(検索)等の情報交換がリアルタイムに行われています。なお、不動産流通機構が共同で運営している不動産情報データベースの略称であるレインズは、そのまま指定流通機構の通称としても用いられており、指定流通機構そのものを指して「レインズ」と呼ぶことがあります。

レインズへの媒介契約の登録義務

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一般的に、個人が不動産を売却するときは不動産会社に依頼し、その際には必ず媒介契約を結びます。媒介契約には3つの種類があり、そのうち、「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」については、宅建業法により、契約の締結から5営業日から7営業日以内にレインズに情報登録を行うことが義務付けられています。

指定流通機構の基本的な役割

これまで述べてきた指定流通機構の役割についてです。

(1)不動産情報の交換業務

専任媒介契約等を締結した不動産会社は、不動産情報をレインズに登録します。指定流通機構は、レインズに登録された物件情報を、瞬時に沖縄から北海道まで全国すべての会員不動産会社(宅建業者)に提供します。広く公開されることで、各不動産会社が抱えている顧客に紹介されるので、売主は最適な買い手を探すことができ、売却の機会が増え、取引の円滑化が促進されます。

(2)取引事例・成約情報の集約

不動産会社は、レインズに登録している売却物件の売買契約が成立した場合、取引の日時、価格などの情報を登録して、その成約情報を指定流通機構に通知する義務があります。指定流通機構は、通知された成約情報を集約し、全国の不動産会社に提供します。

中古物件の価格査定においては、過去に近隣で行われた実際の取引事例の成約価格を参考にして比準価格を算出し、それをもとに売り出し価格を設定することが一般的になっています。

レインズを介して近隣の取引事例を収集し、成約価格を比較することで、媒介業務の委託を受けた不動産会社はスムーズかつ適切に価格査定を行うことができます。指定流通機構は、不動産流通市場の透明性と活性化のために、こうした環境を提供しています。

(3)消費者への取引情報の提供

インターネットの普及により、一般消費者も不動産取引情報を収集しやすくなりました。指定流通機構は、消費者が適切な知識や相場観を身につけ、不動産取引において不利益を受けることがないように、環境を整備し、正しい情報を提供することを目的として「不動産取引情報提供サイト RMI(レインズ・マーケット・インフォメーション=REINS Market Information)」の公開を行っています。RMIでは、機構が保有している実際の取引事例の成約価格等のデータが閲覧できるようになっています。多数のデータの中から検索することもできるため、消費者は自宅にいながらにして、価格や相場を調べることができます。

なお、レインズの利用および閲覧は、会員である宅建業者に限られています。ここまでに解説した指定流通機構が提供する不動産情報は、宅地建物取引業者の法的な義務である「守秘義務」を前提に情報交換されているため、一部の情報を除き、一般には公開されていません。

また、2016年1月から東日本・中部レインズには、ステータス管理機能が導入されました。これは、不動産会社による「囲い込み」と呼ばれる自社の売主の物件情報を他社の買主からの問い合わせの紹介を拒否する不正行為を防ぐための措置です。これまでは一般消費者は、一切閲覧ができなかったレインズですが、これにより個人の売主がインターネット上で自分の売却物件の商談状況が確認できるようになりました。

まとめ

これまで見てきたように、不動産流通機構は、不動産市場の活性化と適正な不動産取引の実現を目指す組織で、レインズのシステムは、それを具現化するための不動産業者向けの物件情報のデータベースと言えます。最近は国交省の要請等に基づき、不動産流通機構でも不動産業界での悪しき商慣習を是正しようとする動きが出てきています。

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