不動産売却は多くの方にとって人生でそう何度も経験できることではありません。業者に任せておくこともできますが、何かトラブルが起こってしまった場合に自分が損をする可能性もあります。本記事では、不動産売却の流れについて詳細に解説していきます。
仲介による不動産売却の流れ

不動産の売却は自分で買主を見つける個人間売買や、不動産会社に直接不動産を買い取って貰う買取と言う方法もあります。
とはいえ、ほとんどの場合、不動産会社に仲介を依頼して売却活動を行っていきます。
買取という方法もある
先ほど触れましたが、不動産を売却するには、不動産会社に直接不動産を買い取って貰う買取という方法もあります。
仲介だと売却を始めてから成約するまでどのくらいの時間がかかるか分かりませんし、最悪の場合、契約が決まらない可能性もあります。
一方、買取であれば条件が整えばすぐに売買契約可能です。
ただし、買取は仲介による売却と比べると価格が安くなってしまいます。
このため、基本的には売却価格を高くしやすい仲介がおすすめですが、早く売却しないといけない事情があるときには買取を検討してみてもよいでしょう。
住み替えの流れも確認
不動産を売却して、その後住み替え先の不動産を購入することを考えている場合は、住み替えの流れも確認しておくことが大切です。
ここでは簡単にお伝えしますが、住み替えには大きく「売り先行型」と「買い先行型」があります。
売り先行型の場合、先に自宅を売却してから新居を購入します。
このため、仮住まいへの引越し費用がかかってしまうというデメリットがありますが、自宅の売却も、新居の購入もじっくり進められるというメリットがあります。
一方、買い先行型の場合、先に新居を購入し引越してから、引越し先で売却活動を行います。
この方法だと、仮住まいの費用は不要となりますが、売却する自宅のローンと新居のローンの二重払いとなってしまう点が問題となります。
いずれの方法を選ぶかによって進め方が変わるため、事前に方向性を決めておきましょう。
一般的な不動産売却の流れ
一般的な、つまり不動産会社に仲介を依頼して売却を進める場合の流れは以下のようになっています。
- 不動産会社に査定依頼をだす
- 不動産会社と仲介契約を締結する
- 不動産会社が売却活動を行う
- 売買契約を締結する
- 引き渡す
最初に、不動産会社に売却する不動産の価格査定をお願いし、その結果が満足のいくものであったら仲介契約を締結します。
仲介契約を締結した後は、不動産会社が売却活動を行い、買主が見つかったら売買契約~引渡しといった流れになります。
ここまで、1~2カ月程度で済むこともあれば半年以上かかってしまうこともあります。
以下、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
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不動産会社に査定依頼をだす
まずは不動産会社に、売却する不動産の価値を査定してもらうため、査定依頼を出します。
なお、査定依頼には机上査定と訪問査定の2種類があります。
机上査定とは
机上査定は簡易査定とも呼ばれるもので、土地や建物の面積や場所がわかる物件概要や登記簿謄本など書面上の情報だけで不動産の査定額を算出します。
不動産会社にもよりますが、査定依頼を出してから1~2時間で査定額の結果を聞けることがあるなどすぐに不動産のおおよその価値を把握できるのが特徴です。
一方で、現地を見ないため査定の精度は低くなってしまいます。
訪問査定とは
訪問査定とは、机上査定と同じように、書面上での査定を行った上で、実際に現地に足を運んで査定する方法です。
建物の査定も含まれる場合は、売主と不動産会社とで日程を併せて訪問を受ける必要があり、訪問を受けてから1週間程度で査定額を聞くことができます。
机上査定と比べて査定の時間がかかるのに対し、精度の高い査定を受けることができるのが特徴です。
なお、実際に不動産を売却するのであれば、最初に机上査定を受けたとしても、最終的に訪問査定を受ける必要があります。
とりあえず不動産の価値を知りたい、といった程度であれば簡易査定を、売却も考えて査定を依頼するのであれば訪問査定を選ぶとよいでしょう。
不動産会社と仲介契約を締結する
不動産会社に査定依頼を出し、不動産会社から査定額の提示を受けたら、。その不動産会社と仲介契約(媒介契約)を締結するかどうかの判断をします。
不動産会社への査定依頼は、依頼する不動産会社によって査定額が異なるのが一般的なので、基本的には複数の不動産会社に査定依頼を出した上で、一番説得力のある査定額を提示してくれる不動産会社を選ぶことをおすすめします。
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なお、仲介契約の内容によっては、一度に複数の不動産会社と契約を結べるもの(一般媒介契約)と、1社としか契約を結べないもの(専任媒介契約、専属専任媒介契約)があります。
一般媒介契約は、一度に複数の不動産会社に仲介を依頼できることから、多くの購入希望者にアプローチしやすいという特徴がありますが、不動産会社が積極的に売却活動しづらいという側面を持ちます。
これは、不動産会社は売却活動の結果、売買契約を締結できなければ仲介手数料を得られないことが原因です。
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、1社としか契約を結ばないため、不動産会社が積極的に活動しやすいです。
ただし、仲介契約を依頼した不動産会社が実績に乏しかったり、実力に欠けて掛けていたりすると売却が進まないというリスクがあります。
これらを比較検討した上で、どのタイプの仲介契約を結ぶか決めるとよいでしょう。
不動産会社が売却活動を行う
媒介契約締結後は、不動産会社が広告活動や内見など、売却のための活動を一通り行ってくれます。
基本的に、この間は売主がやることはあまりありません。
ただし、売却する不動産に住みながら売却活動を行う場合は、週末に開催するオープンハウスで自宅にいる必要があるなど、負担が生じます。
また、そうでない場合でもオープンハウス前には物件をきれいに掃除しておくことも大切です。
不動産売却に関する契約締結後の流れ

不動産会社による売却活動の結果、購入希望者が現れると、以下のように手続きを進めていくことになります。
- 価格交渉(買付申込書の受け取り)
- 売買契約締結
- ローン本申し込み
- 引渡し
それぞれについて見ていきましょう。
価格交渉(買付申込書の受け取り)
購入希望者が現れると、購入希望者から買付申込書を受け取るのが一般的です。
買付申込書とは、物件を購入する意思を表示するための書類で、申込日や購入希望額が記載されています。
このとき記載される購入希望額は、それまで売却活動していたときに提示していた売却価格より値引きされた額が記載されているときもあります。
その時は、購入希望額で売却するかどうかを検討しなければなりません。
提示された購入希望額で売却してもよいのであれば、次のステップに進みますが、値引きしたくないのであれば、折角の購入希望者を失ってしまう可能性があります。
なお、売却価格と購入希望額の間の額を提示するといったことも可能です。
ちなみに、買付申込書自体に法的効力はなく、買付申込書を受け取ったからといって、必ず売却しないといけないわけではない一方、購入希望者側も必ずしも購入する必要はありません。
売買契約締結
買付申込書を受け取り、買主と売主とで契約条件に納得できたのであれば、売買契約締結となります。
売買契約締結日には、買主から売主に対して手付金を支払います。
手付金の額は1割程度に設定されるのが一般的ですが、買主が用意できない場合には、どのくらいの手付金を支払うのか、契約条件の交渉を行うことになります。
受け取った手付金は解約手付としての性格を持つものであり、例えば5,000万円の契約で500万円の手付金を受け取った場合、買主は500万円を放棄することで、売主は500万円の2倍、1,000万円を返金することで契約を解除することができます。
仲介手数料の支払いタイミング
不動産会社に仲介を依頼し、売買契約が成立すると仲介手数料を支払う必要があります。
この仲介手数料の支払いのタイミングは不動産会社によって異なりますが、具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 売買契約時に100%の仲介手数料を支払う
- 残金決済時に100%の仲介手数料を支払う
- 売買契約時に50%、残金決済時に50%の仲介手数料を支払う
なお、不動産売却の仲介手数料は、売買価格が400万円以上のとき「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限となっています。
例えば、5,000万円の不動産の売却であれば156万円+消費税と大きな額となるため、仲介手数料の支払いのタイミングを把握しておくと共に、必要な資金をあらかじめ準備しておくようにしましょう。

ローン本申し込み
売買契約締結後、買主による住宅ローン本申し込み手続きとなります。
本申し込みは早ければ1週間程度で結果が出ることも有りますが、長引くと1ヶ月以上時間がかかることもあります。
住宅ローンの本申込が否決となってしまえば、売買契約締結後、住宅ローンの審査中は他の買主を探すこともできなくなり、また否決となれば一から買主を探さないといけなくなります。
そうしたことにならないよう、売買契約締結前から年収や属性など不動産会社から聞ける範囲で聞いておくとともに、住宅ローンの仮審査に通っているかどうかもチェックしておくとよいでしょう。
ローン特約について
不動産の売買契約ではローン特約を設けるのが一般的です。
ローン特約とは、「売買契約後、設定した期日までの間に住宅ローンが否決となった場合は、手付金を無利息で遅滞なく返還する」というものです。
つまり、設定した期間内の否決であれば受け取った手付金をそのまま返還しなければなりません。
ローン特約をあまり長く設定すると、買主や金融機関がローン本申し込みに必要以上に時間をかけてしまう可能性があるため、必要最低限の期間に設定するようにしましょう。
なお、一般的には売買契約から2週間~1ヶ月程度で設定します。
決済~引渡し
買主が住宅ローン本申し込みの承認を得られたら、住宅ローンで売買価格の残金の支払いを受け引渡しとなります。
住宅ローンの決済では、金融機関の空いている時間(平日9時~15時)に売主と買主、司法書士、不動産会社、金融期間の担当者など関係者が集まる必要があります。
売主としても、平日仕事をしている場合は仕事を抜けたり、休んだりする必要がある点に注意が必要です。
決済時には必要書類を確認しよう
住宅ローン決済時には、権利証や実印、印鑑証明書など重要な書類を用意する必要があります。
これらの書類が揃わないと手続きを進めることができず、仮に書類を忘れた場合は関係者全員の時間を無駄にしてしまう可能性があります。
事前に必要書類を確認したうえで、万全の準備をしておくようにしましょう。
相続における不動産売却の流れ
本記事では不動産売却の流れについてお伝えしていますが、相続した不動産を売却する場合も、基本的な流れはご紹介したものと同じです。
ただし、相続の場合、相続を知ってから3ヶ月以内に相続放棄するかどうかの手続きをしないといけなかったり、10ヶ月以内に相続税の支払いをしなければならなかったりと、いくつかの期限があることに注意が必要です。
不動産を売却して相続税の支払いに充てるようなケースでは、場合によっては相場より安い価格への値引きをしてでも売却しなければならないこともあるでしょう。
上記のような場合、冒頭でご紹介した不動産会社による直接買取を検討するのも一つの方法です。
まとめ
不動産売却の基本的な流れについてお伝えしました。
流れを見ても分かる通り、不動産売却はそのほとんどの手続きを仲介を依頼した不動産会社が行うため、「よいパートナーを見つけること」が非常に重要となります。
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