【2024年10月発表:最新版】首都圏の中古マンション3カ月連続で成約件数が前年比減少。大手銀行が住宅ローンを引き上げ

<毎月更新>東京・神奈川・千葉・埼玉(首都圏)のレインズ発表不動産市況データについて解説します。今後、中古マンションの売却・購入・住み替えを検討されている方はぜひご確認ください。

更新日:2024年10月21日

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イエシルコラム編集部

株式会社リブセンス

IESHIL編集部

東京・神奈川・千葉・埼玉の中古マンション価格査定サイトIESHIL(イエシル)が運営。 イエシルには宅建士、FPなど有資格者のイエシルアドバイザーが所属。ネットで調べてわからないことも質問できるイエシル査定サービスを展開しています。

この記事の要点
  • 2024年9月度の首都圏中古マンションは成約件数が前年比で4.5%減少
  • 新規登録件数・在庫件数も前年比でマイナスに
  • 大手銀行3行が、変動金利型住宅ローンの金利を引き上げ
  • 変動金利型住宅ローンの「5年ルール」「125%ルール」に潜むリスクとは?
  • 成約件数の変化と、日本銀行の利上げのタイミングに要注目

2024年9月度のTOPICS

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最新の市況や事例に基づいた”成約の妥当価格”を確認しておきましょう

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不動産会社ではない中立メディアのイエシルが営業要素ゼロの価格を算出します。 ”成約の妥当価格”を知っておくと、不動産会社が出す査定額の「高すぎる」、「安すぎる」を見抜くことができます。

■TOPICS1 首都圏の中古マンション、成約件数が前年比3カ月連続減少!東京都は前年比-12.3%に

2024年10月に東日本レインズが発表した「月例速報 Market Watch」によると、2024年9月度の首都圏中古マンションは成約件数が前年比で4.5%減少しました。7・8 月に続き、3カ月連続前年比を下回る結果です。
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出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「REINS TOWER」

特に東京都は減少幅が最も大きく、成約件数が1,545件で前年同月の1,761件を12.3%下回りました。

なお、9月の新規登録件数は16,195件(前年比-4.8%)、在庫件数は45,403件(前年比-1.9%)でそれぞれ7カ月、5カ月連続で前年同月と比べ減少中です。

マンションを含め不動産は、毎年8月に流通量が減少し9月には元に戻る傾向がありますが今年は9月になっても成約件数が前年同月と比べマイナスとなってしまいました。

原因の1つとして、住宅ローンの金利上昇があります。

■TOPICS2 メガバンクが10月から変動金利型住宅ローンの金利を引き上げ!

メガバンクを含む大手銀行が、10月の住宅ローン金利を発表しました。 りそな銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行は2007年以来17年ぶりに短期プライムレートの変動に伴い変動金利型住宅ローンの新規借り入れの金利を引き上げます。
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出典:りそな銀行三井住友銀行三井住友信託銀行ホームページ

一方で、三菱UFJ銀行 0.345%、みずほ銀行 は0.375%で金利は据え置きです。

短期、長期プライムレートについてはこちらの記事をご参照ください。

国土交通省の「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、住宅ローンの新規借り入れで「変動金利型」を選ぶ人は77.9%に上ります。

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出典:国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」 

そして、毎月の返済額(利息+元金)が一定の「元利均等返済方式」を利用する人が多い傾向にあります。


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<元利均等返済方式のイメージ>

出典:金融広報中央委員会「知るぽると 住宅ローン 元利均等返済・元金均等返済の違い」 変動金利型住宅ローンの元利均等返済方式には、「5年ルール」「125%ルール」が存在します。

■TOPICS3 「返済額が大きく変わらないから大丈夫」ではない!「5年ルール」「125%ルール」のリスクとは

元利均等返済方式で、変動金利型の住宅ローンは返済額の急な上昇をおさえる「5年ルール」「125%ルール」 が存在します。


項目 内容
5年ルールとは
借入期間中、適用金利が変動しても返済額は5年間変わらない
125%ルールとは
5年経過後の新返済額は、前5年の返済額の125%が上限


「5年ルール、125%ルールがあるのなら、変動金利型住宅ローンで金利が上昇しても、影響が小さいのでは?」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

確かに「5年ルール」「125%ルール」によって、毎月の返済額の増加は回避できます。しかし、支払う利息が減るわけではないのです。

急激な金利上昇が起き、適用金利が引き上げられ利息部分の金額が返済額よりも多く なってしまった場合「返済額を上回った部分の額」は、「未払利息」として蓄積されていきます。

その後、金利が急激に下がったケースなどでは未払利息が解消される可能性があります。しかし、解消されない場合は返済を続けていかなくてはいけません。

このように、住宅ローン金利は長期的なスパンで買主または購入を検討する人に影響を及ぼし「買い替えを見送る」「今は買うのをやめる」といった事態を招く恐れがあります。

そしてマンションの需要が下がると住宅の価格も下がる可能性は高いため、住宅ローンの金利上昇は売却を検討している方にも大きな影響を及ぼすでしょう。

■TOPICS4 新首相・石破茂氏の金利の発言を巡って市場が敏感に反応

石破茂首相は、10月2日に日本銀行の植田総裁と会談後、政策金利の引き上げについて「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない 」と記者団に語りました。総理に就任する前は、金利の引き上げを容認する発言をしていたため石破茂氏が自民党新総裁となると急激に円高・株安が進んでいました。
しかしこの発言を受け、金融市場では円安・株高が進み9月の水準まで戻っています。
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赤:日経平均株価 青:米ドル/円

■TOPICS5 成約件数の変化と利上げのタイミングに今後も注目

今月は毎年9月に回復傾向にある成約件数の前年比が、下落しました。今後再び利上げが行われた際には、さらに住宅ローン金利が上がり購入を検討する人の「買い控え」が進んでしまうことが予測されます。マンション売却をお考えの方は早めの査定・相談をおすすめします。

不動産会社ではない中立メディアのイエシルが営業要素ゼロの価格を算出します。 ”成約の妥当価格”を知っておくと、不動産会社が出す査定額の「高すぎる」、「安すぎる」を見抜くことができます。


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この記事を書いたのは…IESHIL(住まい/不動産投資のミカタ)事務局 アドバイザー 石井 友里恵

大手不動産会社勤務時代は、土地、マンション、戸建、投資不動産の賃貸売買の仲介を経験しました。お客様が気づかぬうちに取引で損をしてしまわないよう、これまでの経験を活かし業界の営業トークの裏側などもお伝えできます。何度も経験するわけではない不動産売買について、わかりやすい説明を心掛けています。お気軽にご相談ください。

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